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2011.08.19

「有やん」のこと

長友啓典 (クリネタ編集長 / アートディレクター)
有田泰而著 『裸者の森』 (リブロポート刊)

アメリカに移住している「日本デザインセンター」の同期生、カメラマンの「TAIJI ARITA」(有田泰而こと有やん)が鬼籍に入ったという報せを受けた。

鋭い視線を持つ写真家であった。売れっ子のスタイリストであった奥さんと20年前にアメリカに渡った。写真機を封印して、絵筆に持ち替え、ドローイングをするという趣旨のことを語ってくれた。

「何を餞別にしようか?」という問いに「日本料理をする包丁が欲しい」との話だったので、築地まで一揃えの包丁を買いに行った記憶がつい昨日のようだ。彼の地へ骨を埋める覚悟を決めてのものだったはずだ。

ロスアンジェルス郊外に温泉付きのアトリエを造ったと耳にし、当地で撮影の合間に会ったことがある。数十枚もの100号の絵を写真で見せてもらった。並々ならぬ才能を伺うことができた。

明るい太陽を浴び、日がな絵筆を振るう「有やん」が目に浮かんでくる。良い環境でのクリエイティブな生活を羨んだ。

三年程前には転居通知とともに、個展を開き、その作品の記録写真が届いた。何点かのオブジェが入っていた。これがまた現代人の琴線に触れる良い感じのものであった。「良え生活してんねんなぁ」と思っていた矢先にこの報せだった。

青葉益輝に原田芳雄に続いて同期生が立て続けに逝った。三人の同志に心から合掌。

こういうことって突然向う側から誘いにやってくるものなのだろうか、そろそろ予めの覚悟は必要なんだろうなぁ。と思う今日このごろだ。

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