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2011.12.02

京の焼肉。

吉永 淳 (クリネタ編集団 / フリーランスコピーライター)

もう15年近くつづいているJRグループ「京の冬の旅」のポスター制作。毎年、夏の終わりから特別公開されるお寺を取材して、9月から10月にかけて企画を練り、11月中旬から2週間ほどかけてポスター撮影をする。アートディレクターの山田泰世、フォトグラファーの森川昇、ヘアメイクの新井健生、コピーライターの僕、ほぼ同年代の4人が儀式のように毎年京都に集まる。冬は季節のご挨拶のように京都に行けることに感謝しなくてはいけない。リーマンショックがあっても、大地震があって、つづいている仕事に心から感謝しなくてはいけない。

撮影にコピーライターがなぜ行くのか、と良く聞かれるが、行ったこともない場所を机の上の言葉だけでは褒められない。撮影の合間に、主人公となる京都の文化人に取材する。おもに新井さんがメイクをしているときに生の声を聞いたり、コピーを見せたりして広告に使う文章をつくっていく。

2012年「京の冬の旅」の主人公は、釜師の大西清右衛門さんと唐紙屋「唐長」の千田愛子さん。室町時代から400年以上つづく伝統の技を受け継ぎ、新しい文化も取り入れていく。お二人とも、京文化を支える若き職人だ。早朝からはじまる撮影のために起床はだいたい午前5時で、日没となる午後5時まで約12時間つづく。

一日の仕事が終わると、ホテルに帰り、シャワーも浴びず、すぐに食事へ出かける。他のスタッフも合わせて10~12人で値段がリーズナブルで、おいしい店に出かける。ロケ中必ず行くのは、千本出水の焼肉屋「江畑」だろうか。京都の焼肉屋のレベルは、相当高い。他府県に比べて韓国人コミュニティがしっかりと京都に根付いていること、そして地元の丹波牛をはじめ近隣の兵庫但馬牛、滋賀県近江牛など新鮮で優良な牛肉が手に入ること。これが、京都の焼肉店がおいしい理由。「江畑」はその中でも知る人ぞ知る名店だ。牛肉の目利きである店主と、若くてテキパキと動いてくれるスタッフのチームワークが素晴らしい。この店は、何でもおいしいが、必ず食べるのは「ギャラネギ」と呼ばれる九条蔥とホルモンの炒め物で、普段はホルモンが苦手な僕も、これだけは箸が止まらない。京都だからといって身体に優しいおばんさいや湯豆腐ばかりでは、明日へのチカラはみなぎってこない。約2時間、肉、肉、肉で焼酎を飲む。肉のパワーがスタッフの気持ちをひとつにするエネルギーになっている。

撮影が終わった11月16日、僕以外のスタッフは京料理の和久傳で打ち上げをして最終の新幹線で東京に帰ることになっていた。でも僕はこの日、クリネタ初の単行「死なない練習」の発売日だったので、一人で京都の町にある大手書店をまわることにした。自分が携わった本が、初めて書店に並ぶワクワク感。早くそのシーンを目に焼き付けたい。しかし、どこを探しても、店頭に置いていない。最後に行った大垣書店で調べてもらったら、11月17日が発売日だった。ああ、こんなことなら、「和久傳」に行けばよかったなあ。

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