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2012.01.13

ボクの蓋棺録

長友啓典(クリネタ編集長 / アートディレクター)

昨年は大勢の仲間・友人・知人がボクのアドレス帖から消えていった。森田芳光もそのひとりである。肝不全と聞いた。悔しい、実に悔しいという想いでいっぱいである。人一倍身体に気を使っていたヤツだった。僕たちがよく飲んでいたころ梯子酒を繰り返しているのを横目にして、早々に切り上げていた。監督の「家族ゲーム」は新しい映像美を見せてくれた。「(ハル)」、「キッチン」等では時代が見事に描かれていた。「悲しい色やねん」の大阪ものでは見事な大阪弁を駆使する藤谷美和子さんを使い、大阪弁でない大阪弁を大阪弁にまで昇華させていた。「それから」では夏目漱石の文芸物を松田優作、小林薫の両優を並び立たせて各映画賞を総ナメにした。そんなスゴい才能を持ったヤツが勝手に鬼籍に入った。

一昨年の始めには小島武(イラストレーター)が途切れていた連絡が復活したかと思う間もなく逝ってしまった。学生の頃に知り合った古い友人だ。当時仲の良かった多摩美の学生だったフォーク界の良心、小等等さんと一緒に歌を歌っている姿が忘れられない。ボクがイラスト界で知り合った数少ない「天才」のひとりだ。

歌と言えば、「黒百合は恋の花…」とカラオケで歌うアートディレクターの青葉益輝が僕と同じ食道ガンで亡くなった。僕と同じと書いたが、僕が退院した時に「お前と同じガンになったよ」と電話をくれた。お互い頑張ろうと「SKB」(ショクドウガンブラザーズ)を結成しようと笑い合った。彼も学生時代(桑沢デザイン研究所)からの付き合いだ。真面目なヤツで、一つの事に百ぐらいのアイディアスケッチを描いていた。アイディアに行き詰まると後頭部に「キンカン」を塗って覚醒させて作業にかかっていた鬼気迫る姿が思い浮かばれる。ある種の天才だ。そして原田芳雄さんが、立川談志さんが、多くの友人、知人が鬼籍に入った。イラストレーターの吉田カツが年の瀬に亡くなった。イラストレーションひと筋で、あまり仲間づくりの上手くないヤツだったが、ナゼか気を許してくれていた。力強い絵は万人を魅了した。近々連絡をとってみたいなあと思っていた矢先のことだった。こうなったらどんだけ生き延びてやろうかと今思っている。

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