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2012.03.23

はじめての長文「死なない練習」。

吉永 淳 (クリネタ編集団 / フリーランスコピーライター)

イタリア料理のシェフになるかコピーライターになるか。大学4年生で就職を決めるとき、大いに悩んだ。僕は入学したときすでに三浪していたので大学4年の頃は24歳。就職試験を受けるときも、指定校制やら年齢制限でひっかかることが多く、いろんな職業の中で、残ったのがこの2つだった。料理に関しては母親からのアドバイスで小学校3年の頃から揚げ物、炒め物、蒸し物を自分で調理していた。もう一つのコピーライターに関しては中学3年の頃に、XEROXの「モーレツからビューティフルへ」という言葉がとても印象に残り、漠然と自分でも書けそうな気がしていて、大学3年生の頃にコピーライター養成講座に通うことにした。イタリア料理の店でも週4回アルバイトをしていたので、この2つの職業のどちらに進むかを迷うことになった。結局、4年の夏に銀座にある広告制作会社ライトパブリシテイに就職が決まってコピーライターの道へ進むことになったが、もしあのとき秋山晶さんに会わなければ、今頃はフライパンを振っていただろう。

なぜコピーライターになったかと問われれば、文章が短いからと即答する。アイデアを考え、人に何かを伝えることは好きだったが、小学校の作文も入試の感想文も文章を長くすることが苦手だった。だから、短い言葉であればあるほど褒められる職業と出会ったときは、まさに天職だと思った。そしてフリーになって30年近くこの職業でご飯を食べさせていただくことになった。

2010年4月、短い文章立案家の僕に思ってもいなかった仕事が舞い込んできた。食道がんの手術から一カ月もしないうちに現場復帰されたクリネタ編集長・長友啓典氏のインタビューである。最初はクリネタの中の記事としてまとめるだけだったが、そのうち書籍にする話になり、インタビューを追加して、酒好きで食いしん坊のビジネスマンが新幹線の中で読めるくらいの文章量にまとめることになった。

その字数はおよそ4万2千字。書籍としては文字が大きく、文章量もきわめて少ないが、コピーライターの僕にしてみれば、気絶するほど長い文章量である。文章の短距離ランナーが長距離を走ったのだから、息もゼイゼイ、頭もゼイゼイ。つらい数ヶ月を過ごすことになる。しかし書店に並んだときの歓びは格別だった。思わずケータイのカメラのシャッターを押していた。

この本は書店の健康、闘病記のコーナーに並んでいることが多いが、けっして闘病記ではない。長友啓典という旨い酒と旨い飯が大好きなオジサンが次世代の僕らに語りかける、人生第3コーナーを回ったあとの粋でヘルシーな過ごし方である。とりあえず力作なので、男女問わず多くの中年、熟年の皆さんに読んでいただきたい。タイトルは「死なない練習」講談社950円。税が48円かかって、千円でお釣りが2円です。書店にないときは、amazon.co.jpへどうぞ。

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