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2012.04.06

鳴門雑記帖

山岡 茂 (クリネタ編集団 / アートディレクター)

今年の春は遅い。桜と梅が同時期に咲いているそうな。

40年振りに訪れた淡路の島もまだ寒椿が咲いていた。その年には、明石大橋もなく、神戸から船で淡路島の洲本へ渡った気がする。学生の頃で8月の海を求めてのワイワイした旅だった。今、思えば黒く日焼けした顔を並べ長く船に揺られながら神戸港に着いた健康そのものの青春の1ページである。

今回は当然のごとく神戸でレンタカーを借り、明石大橋をアッと言う間に渡り神戸から1時間少しで淡路に着く。その先は徳島と結ぶ鳴門大橋が写真のごとく渦潮の上に聳え立っている。残念ながら渦潮は上手く写真に捉える事は出来なかったが。

島の風景は一変。遥かなる海原の向こうにという言葉も無く妙に悲しくなってくる。しかし島内を回り漁村の細く暗い道を歩いていると、潮の香りと共に黒い瓦が鈍く銀色に輝き、その光に押しつぶされた民家が密やかに背を寄せ合って並んでいる。

《 写真 》
昔、「鳴門秘帖」という映画を見た記憶があるが、阿波藩に送られた隠密のごとく、その家々の奥に珉平焼が展示されている。約190年前、阿波藩主の御用達として花器、茶器を納めた淡路焼を始めたのが賀集珉平という人、その名を取って珉平焼と云われている。

不思議な色合いと、大胆な色の組み合わせ。京の焼物と違い遠く異国の香りが鄙びた海風と共に漂って来る気がした。

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