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2012.05.04

鎌倉で吟行

山岡 茂 (クリネタ編集団 / アートディレクター)

連休前の土曜日、春にしては風が冷たく肌に痛い1日であった。横須賀線は老若男女で満員。例のごとく鎌倉駅もワイワイ、ガヤガヤ。古都の風情も、裏寂しい老人達で台無し。昔の老人達はもっとおしゃれで赫灼としていた筈なのだが。我が身も直せよ。

それはさて置き、久し振りの句会。マァ、日頃から句を読む心のゆとり等無く、今日も行きの電車の中、慌てふためきつつ俳句歳時記を取り出し、駄句をひねり出す始末。

この句会も今は亡き新内節の岡本文弥さんを宗匠に置き初められた会であるが、今もなお連綿と続いている句会である。

今回は鎌倉紀行。小一時間の散歩がてら海蔵寺へと案内される。この辺りは人通りも少なく、扇が谷辺りの落ち着いた住宅街を通り抜け、数段の石段を登り切ると、花咲き乱れる禅宗風の瀟洒な庭があった。丁度、海棠の花が満開。淡紅色の五弁の花が古寺に妙に艶めきを添えている。その淡紅色の花は渓間に造営され、暗き夢を漂わせる鎌倉の都と混じり合い、仄かな武士の世の未来を感じさせる様である。

前文が長くなったが、写真は咲き乱れる海堂の花と散ってしまった桜の花。後者の桜の花々は春嵐に翻弄され、黒々とした関東の土地に吹き寄せられていた。「吹き寄せ」と云う名の模様が古くからある。和菓子や着物の柄に現在も息づいて使われている。季節が過ぎ、花々が散り行き、その行く末までも見届けた昔の日本人の美的感覚に今更ながら驚くばかりである。

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