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2013.04.22

みんなの桜。

吉永淳(クリネタ編集団/コピーライター)

「今年の桜、少し白くないですか」。3月22日の金曜日、渋谷から六本木ヒルズに向かうために乗ったタクシーの運転手さんに、ふいにそんなことを言われた。「確かにそうですねえ。いきなり咲いたのが曇った日だったから輝いて見えなかったのなあ」と、僕はいい加減な返事をした。以前、青山墓地で見た桜はものすごく赤みが強く感じた経験があったので墓地中の道を走ってもらったが、やっぱりいつもよりも少し白く感じた。間近で見てみたい衝動にかられて、次の週の月曜日、散歩がてら近くの代々木公園へ見に行った。確かにちょっと白いんだなあ、これが。

本当のところは、どうなんだろうか。とネットで調べてみると.暖かい日が続いた後に急に冷え込んだ3月は一気に開花するらしく、桜の木にとっても色素が十分じゃなくて薄い色になることがあるらしい。今年の桜は、だから白いんだ。放射能のせいでもないし、中国の黄砂のせいでもないことに少しホッとして、僕は間近に咲く代々木公園の桜をぼんやりと眺めていた。

桜の美しさは、貧富の差なく日本人みんなのものであることだ。日本中、どの街にも桜の木があり、南から北へ順々に桜前線があがっていく。待っていれば見られる花、それが桜なのだ。住所が公園であろうと、六本木ヒルズだろうと、ほぼ同じ美しさで春の訪れをおしえてくれる。

春の訪れをおしえてくれるのは、桜だけではない。僕が冬から春への変化に気付くのは、新たまねぎや新キャベツが八百屋の店頭で見たときだろうか。朝堀のタケノコやホタルイカがスーパーマーケットに並ぶと、より春が来たことを実感する。旬の食べ物は身体にエネルギーをくれて、目にも美しい。僕にはこちらのほうが似合っている。あまりにも高くて貧富の差によって眺めることも食べることもガマンしなければならないことがあるけれどね。

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