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2013.06.03

そよ風のように、やさしく……

山岡 茂(クリネタ編集団/アートディレクター)

所用で4月に箱根富士屋ホテルに行った。今年の春は寒暖の差が激しい為かホテルの裏の庭園の花も疎ら、箱根の山々や木々も褐色の肌を見せている。

今、とある会社でタイル関係の仕事をしている。何度か訪れた、このホテルのバーの近辺に昔のタイルが装飾的に埋め込まれた美しいトイレがあった事を記憶していた。もう一度、ぜひと思い到着後すぐに、記憶のままに一目散。頭の中のトイレはそこになく右往左往。ホテルマンに聞きやっと見つかった始末。人の記憶とは曖昧なものと、つくづく感じた。

銀杏葉型のタイルを組み合わせ不思議な形の連続。オレンジ、青の深みのある色。大体に置いて白一色の現代のトイレに慣れ気っている我々は、一人、この電熱球の薄暗いトイレで無防備な姿を曝け出していると思うと恐い気がするのも確かであるが、妙に記憶に残り生々しい。現代の風景は目前をそよ風のように、やさしく過ぎ去ってしまうだけなのかもしれない。

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