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2013.10.14

広告のない電車

中村禎 / コピーライター

ある日の夜の大江戸線。中吊りなど一切の広告がない車両に乗った。ステンレスシルバー色の車内は、それはそれでキレイだった。広告屋としては「なんじゃこりゃ?」とすぐ気づいたけど、乗客たちはどうだったろう。ほとんどの人がケータイを見ていて、「ああ、そういわれると、ないね、広告が」と言いそうに見えた。

電車に乗ると車内のあっちこっちに広告が貼られているのが当たり前の状況を、一旦リセットしてみるのもいいんじゃないか。「掲出すれば効果がある (はずだ)」と勘違いしている頭の中をリセットして、ケータイばかり見ている人たちにどう伝えるか、を考え直してもいいんじゃないか、と思った。

例えば、中吊りを一切止めて、車内放送でひとこと商品名をしゃべるとか。CM音楽をイントロクイズのように3秒だけ流すとか。その商品のタレントの声で「駆け込み乗車はやめましょう。缶コーヒーの●●」というとか。「この最終電車は○○社の提供で走っております」とか。車内がすべてデジタルサイネージになれば、いろんな可能性が考えられる。ちょっとでも空いている壁を見つけて、網棚で一部隠れているような場所にまでステッカーを貼らせて掲出料をとるよりも、広告効果を考えた方法がもっとあるはずだ。いかに広告料を稼ぐかではなく、いかに効果的なメディアをつくるか。

とかなんとか。広告の全くない電車にたまたま乗って、常識を疑うこと、未来は過去の延長線上にないこと、そういうことを考えるいい機会になった。

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