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2014.11.17

イノイズム思想⑰「猫島」

柴田常文 (コピーライター / クリエイティブディレクター)

宮城県石巻市からフェリーに揺られて約一時間。田代島という小さな島がある。周囲11.5kmほどの小さな離島だ。高齢化、過疎化が進み、人口は60人ほどで平均年齢は71歳。子どもはもう一人もいない。そのかわり猫がいる。

フェリーを降りると、「何しに来ニャ~?」とウジャウジャ寄ってくる。人口より猫口(というのか?)が凌駕し、島を我が物顔で闊歩している。民宿の軒下、道端、どこにでもいる。道のど真ん中で、つるんで日向ぼっこなどしているが、近づいても逃げるどころか微動だにしない。今や「猫島」として全国的に知られ、猫好きが全国からカメラをぶら下げてやって来る島なのだ。

この猫島は、何を隠そう(別に隠してもいないのだけど)私の生誕ではないけれど生育の地なのである。父が教員として赴任し、この島で私は4~5歳まで育った。なんと、64歳の誕生日である9.11に60年ぶりに再訪したのである。もっと早く来るはずだった。還暦の頃来る予定だった。それが震災で断念し、この夏までノビノビになってしまった。

教員住宅が島の高台にあり、小学校と中学校がひとつだった。島に一軒しかないお店まで、姉と手をつないで親父のタバコを買いに行かされた。まだ3歳の頃だ。険しい獣道を降り、帰りはずっと昇り…「赤いパッパちょうだい!」 と「光」という煙草を買いに行ったらしい。あれは幼児虐待ではなかったか? その健気な姿は宮城県民の感動を呼び起こし、河北新聞の一面を飾った(らしいのだけど、真偽のほどはいまだ不明だ)猫の邪魔をしないように山道を歩いていると、アタマは覚えていないのだが、足が覚えている感じがした。

当時の小さなフェリーは、荒天の時は揺れに揺れ、おとながゲーゲーしている船室で、幼児シバタは動じることなく、シーソーのような水平線をジッと見つめ、この国の行く末を按じていたらしい…つづく。……のか?

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