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2015.02.09

イノイズム思想⑳「襲名」

柴田常文 (コピーライター / クリエイティブディレクター)

大阪「松竹座」へ初めて参りました。初春大歌舞伎は、松竹百二十周年「中村翫雀」改め「四代目中村鴈治郎」襲名披露 公演でござりまする~(と歌舞伎調になってしまう)。和服を着た浪速のご婦人たちがわんさといて、華やかな日曜日の昼下がり。

父は四代目坂田藤十郎、母は扇千景。梨園の名門に生まれ、ふっくら母似のサラブレットは「鴈治郎」という名跡をいかに受け継いでいくのか? それは、クリネタ春号でたっぷりとご紹介します! と、ここで予告篇。

昼の部の襲名披露演目は「廓文章 吉田屋」。かつては大阪でも指折りの大店の若旦那、放蕩の末借金を抱え、勘当されてしまった藤屋伊左衛門を鴈治郎が演じる。病に臥しているとの噂を聞き、恋しい扇屋の夕霧を案じて身をやつしながらもやって来た、かつての馴染みのお店。そこにいる艶やかな夕霧を演じるのは、文化勲章に輝く坂田藤十郎! 四代目鴈治郎の父である。実の父が遊女となり、ウルウルした瞳で見つめ合ったり、寄り添ったりしているのだ!

ン~む……我に置き換えてみた(なんで置き換えてみるの?!)。目の前の遊女が、親爺……80を過ぎた親爺が、恋しい瞳で俺を見つめる。首なんか曲げて……それに応えて見つめ返す俺…………ありえない! 断じてありえない……「どんなもんなんですかねぇ?」と、隣りの長友編集長に問えば、「ン~む、そやな」と笑っていた。

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