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2015.10.05

イノイズム思想㉘「曖昧」

柴田常文 (コピーライター / クリエイティブディレクター)

「それって、微妙だよね、微妙」
「そこんとこ、気持ち上げてみて」
「ま、わたし的にはいいとは思うんですけどね…」

断定的な言い回しをやめて、ぼかした表現がいつの間にか市民権を得ている。いいのか、悪いのか、判断がつかない時に「微妙」という言葉を使う人は、実に3人に2人もいるという(文化庁の「国語に関する世論調査」より)。

「わたしは、」と言わずに、「わたし的には、」と言う。この「的」っていったい何なんだろうか? 気持ち悪い。「何食う?」「わたし的にはカツ丼の気分なんかだったりして…」などと言っているんだろうか? 「何してたの?」「うん、話とかしてました」というのもある。この場合の「とか」って、なんの役割を果たしているんだろうな?「話をしていました」となぜ言えないんだろう?

IOC総会で東京をアピールした安倍首相は、「フクシマはアンダーコントロール! 状況は統御されている!」と世界の前で胸を張って断定した。その発言にこっちは腰を抜かしたけれど、安保法案でも「100%ありえない!」とか「誓って、ありません!」と断定的発言を連発した。断定的物言いは不安をあおる。かのハイルヒットラー! のチョビ髭を思いだすまでもなく、断定は怖い。主権者である国民は、くわばら、くわばら、と言葉をどんどん曖昧にしていく…。

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