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2015.11.09

友人、知人、先生列伝。

長友啓典(クリネタ編集長 / アートディレクター)

KURODAの「K」とKEISUKEの「K」で「K②」という事務所をつくって46年の年月が過ぎた。

パートナーを組んで何が良かったのかつらつら考えてみるに、ひとつには色々な友人、知人、先生が出来たことだ。しかも二人だから単純に計算しても数は倍になる。「人が財産」とは良く言ったもので、その方々に教えられ、導かれ、助けられ、サポート頂いた。

新宿ゴールデン街では夜な夜な飲み歩いた。昼間事務所にいる時間より、夜の酒場のカウンターの方が長い時間を費やしていたことになる。ゴールデン街では、これまた「友達の友達は皆友達」という感覚だった。デザイナー、演劇、映画、ファッション、写真に漫画、まだwebは出回っていなかったが、あるゆる分野のクリエイター達が群雄割拠の状態だ。2、3軒おきの喧嘩は日常茶飯事であった。丁度アングラの台頭がマスコミを賑わしていた。唐十郎率いる状況劇場があった。寺山修司の天井桟敷との対立(こぜり合い)があちこちで起こっていた。篠山紀信がいる、荒木経惟と熱い議論を闘わせていた。一触即発だ。

一触即発といえば、こんなことがあった。黒木和雄監督と原田芳雄、松田優作、桃井かおりが隣のテーブルで酒を酌み交わしていた。映画について喧々諤々である。小耳に挟んだ黒田が「嗚呼日本映画って面白ないなぁ」と聞こえよがしに大声で怒鳴った。とたん血気盛んな松田優作がムクッと立ち上がった。可成りの迫力だ。目は釣り上がり、口元はへの字で歯ぎしりの音が聞こえんばかり。桃井かおりは、目が座り、我々を睨みつけた。……原田芳雄、黒木和雄が間に入り、大人の判断の発言だ。「じゃあ、黒田さん映画のプロデューサーを引き受けて下さいよ」という話になった。それがあの名作「竜馬暗殺」である。ほとんどの喧嘩は、ことが終わった後、何のことはない友情が芽生えるのが必至だ。

こんなこともあった。あの日本の宝、美空ひばりさんをゴールデン街にお連れしたことがある。「あんた達はどこでお酒飲んでるのぉ」との質問があった。青葉台のご自宅の居間で岡林信康と黒田とボクが打ち合わせをしていた時だ。黒田が「かくかくしかじか」とゴールデン街のことを説明していたら、ひばりさん曰く「じゃ今から行った方が早いわね」とひばりさんのお母さん共々、例のキャデラックに乗りゴールデン街入り口のマンモス交番前に横づけ、おまわりさんの敬礼姿が目に焼き付いている。忘れもしない「プーサン」でなんと3曲も生歌を聞く贅沢を味わった。まだまだ、いっぱいある。友人、知人、先生方の列伝だ。

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